Chapanan.com > ちゃぱなん写真館 > バングラデシュ乗り物図鑑(2)サイクル・リキシャ (2004年11月)


バングラデシュ乗り物図鑑
(2)サイクル・リキシャ(cycle rickshaw)(2004年11月)

 「リキシャ」という言葉は、日本語の「人力車」からきたものだそうで、昔は「リキシャ」といえば文字通り人間が引っ張る「人力車」でした。1930年代に自転車を改造した「サイクル・リキシャ」が登場して、バングラデシュにおいては完全に人が牽くリキシャを駆逐してしまいました。

 ここでは、今BRAC銀行の提供でダッカ空港に展示されているサイクル・リキシャをサンプルとして紹介いたします。その解説によれば、バングラデシュにおいては、1930年代にマイメンシン県およびナラヤンガンジ県で最初にサイクルリキシャが導入され、ダッカにおいては1938年、この2県に続いて3番目に導入されたそうです。

 サイクルリキシャは、南アジアの他の国でもまだ現役で働いていますが、バングラデシュのサイクルリキシャの特徴は、華やかな装飾やペイントでしょう。これらは「Rickshaw Art」と呼ばれ一種の大衆芸術として取り上げられることもあります。日本でも何度かリキシャ・アートの展示が行われています。

これがサイクルリキシャ。派手な装飾が魅力ですが、悪路を走ったり、車と接触したり、洪水で錆びたり、だんだんとボロボロになっていきます。
これが客席の後部。ここにはいろいろなシンボルやイラストが描かれます。

リキシャに描かれる絵には、リキシャワラ(運転手)たちの夢が描かれるそうで、メッカだったり、有名女優だったり、飛行機やロケットだったりします。中には、金閣寺や富士山、東京タワーなんてのもあります。ホワイトハウスなんかはあまり見ないなあ。
これは、後部の泥除け。ここも立派なアートスペースであり、こういうふうに映画俳優などの絵が描かれることが多いですね。

しかし、こゆい絵です。
客席用折りたたみ式幌。使い込んだリキシャは大体ここがぼろぼろになっています。雨の日にはこの幌に加え、客席前面にビニールシートがかけられたりします。
これが後輪。もっとも自動車と接触しやすいところです。うちの車も何度かリキシャの泥除けにひっかかっています。

両輪の間にギアとチェーンが見えますが、このチェーンがわりとよくはずれます。伸びちゃってるんでしょうね。5秒くらいで直せます。
幌の回転部分。金具と竹製の骨の接合部分がもろくて、よく折れたりしてます。
後輪のサスペンション。板バネです。乗り心地はイマイチ。
前輪。ブレーキパットは大抵減りまくっています。
ハンドル周辺。いろいろ飾りがついています。ベルの使用率は非常に高く、リキシャワラはよくベルの鳴り方を点検しています。
ペダル。よく踏み込むせいか、ゆがんでいるものをよくみかけます。
これが客席。とても派手ですね。席はちょっと狭い感じです。ちょっと太めの男性が2人乗ったらちょっと苦しいです。座席が前に傾いていることがよくあるのですが、そういう座席に座ると、ボクのようなヘルニアもちにはつらいです。
座席下には、映画スターたちの写真が。夢いっぱいです。
こうしてみると、リキシャもけっこう迫力があります。

最近、リキシャの乗客を狙った引ったくりや強盗が増えているようです。利用される方はくれぐれも気をつけて!!

(参考)サイクル・リキシャに関する参考リンク集
   ○バングラデシュ協力隊OB酒井さんのページ

お・ま・け!
インド西ベンガル州のサイクル・リキシャ
同じベンガル語圏のインド西ベンガル州でもサイクルリキシャは活躍しています。すでに州都コルカタではほとんど見られませんが、地方ではいまだ主力交通機関として利用されています。

バングラデシュのリキシャとの違いは主に次の通り。

 ○車体が若干小さい。
 ○装飾がほとんどない。
 ○後部が物入れになっている。
 ○サドルがただのゴム板だったりもする。
見ての通り、けっこうみすぼらしいものが多いのです。大抵装飾はないのですが、たまに、スポンサーつきで宣伝を書いているものがあります。
リキシャのサドルです。使い込まれています。

なお、坂を上るときなどは、いったんリキシャから降りることを要求されることがあります。ダッカではほとんど坂はありませんが、チッタゴンなどではよくそういう場面にでくわします。